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大阪のウェブデザイナー・コワーキングスペース運営者のブログです

便乗注文のススメ

僕が住んでいる十三にはたくさんの小さくて素敵な飲食店がある。

僕はできたばかりの素敵なお店に行くのが好きで、その結果、なかなか入るのが難しいような繁盛店ができあがっていく過程を眺めることも多い。好きなお店に入りにくくなるのは少し寂しいことではあるが、それよりもやっぱり長く続けていただいて変わらない味を提供してくれる方が嬉しい。

大体は空いているときを狙って入るようにしているのだが、後からたくさんのお客さんがいらっしゃることも多いわけで、そういうときはさっさと退散することが多かった。

でも最近「便乗注文」することで混んでる中でも結構楽しく過ごせるなと気づいた。

便乗注文とは読んで字のごとく、他のお客さんに便乗して注文をすることだ。

大体ひとりなので、小さなお店だと近くのお客さんが注文する声はよく聞こえる。これに乗っかって「私にもそれください」とお店の人に告げる(多くの場合、元々注文した人には聞こえない程度にやる)。

「美丈夫一合ちょうだい」「あ、私にも一合!」
「鴨そばください」「あ、私にもそれひとつください!」

というやつだ。これをやるとなにがいいか。

1. お店の人のメモリをセーブできる、出るのも早い(場合がある)

当たり前のことだが、混み合った状態で調理をする人は脳のワーキングメモリをたくさん使っている。「AとBとCの注文があって、Bは甲さんの席、Cは乙さんの席、Aは丙さんの席…順番はB、C、A…」という状態が常に続いている状態にある。

そんな中での便乗注文はお店の人に余計なメモリを使わせないで済む。なにせ一つのメニューをつくるのに二倍作ればよいだけになる。フードはもちろんだがドリンクもかなりラクになることがわかるだろう。

店主のメモリは店にいるもの全員の共有リソースである。これがセーブできるとみんなが幸せだ。結果として頼んだものが出てくるのがかなり早くなる可能性も高いし、いいこと尽くめである。

2. 自分では頼まないものに巡り会えることがある

小さなお店なので、メニューは一定でない場合が多い。思わぬ季節の一品があったりする。ところが慌ただしい空気の中で急いで注文を済ませようとすると、ついいつも自分が頼んでいるようなものばかりを頼んでしまいがちになる。

ところが便乗注文すると「自分の目には入らなかったけれど美味しいもの」に巡り会えることがある。とくにメニューに存在していないけど常連さんが知っている裏メニューみたいなものに巡り会えることも。

この間は焼き鳥屋さんで裏メニュー的な〆の鴨つけ蕎麦に巡り会えた。麺物は、麺を一気に茹でて出汁も一度に出せるとかなりお店はラクだ。とはいえ私たちがこれを頼んだことでお店中のお客さんたちが一気に鴨つけ蕎麦を頼みだすということになってしまったのだけれど。

3. 会話のきっかけになる

ひとり飲みの楽しいところは、お店の人や周りのお客さんと楽しい時間が共有できるところだ。便乗注文はそうした周囲のお客さんとの会話のきっかけになりやすい。

「同じものに興味を持っている」ことは人の警戒を和らげるし、「同じ味を同時に味わっている」ことは当然話のきっかけになる。

とはいえ、もちろん無理に会話に割って入るようなことはかえって迷惑になるので、そこは無理のないようにしている。

以上。なお、便乗注文は何度もやるとなんだか怪しい感じになってしまうので、一来店につき一回程度にしておくのがいい。以上、便乗注文のススメでした。