SuikoLogはてな別館

大阪のウェブデザイナー・コワーキングスペース運営者のブログです

2020.03.29 #ヒトリアニ はじめてのアニクラDJ本番を振り返る

3月29日におこなわれたオンライン配信型のアニクラDJフェス「ヒトリアニ」のDJ振り返りです。私は2番手、11:40〜12:20という比較的早い時間を受け持たせてもらいました。

Twitch録画はこちらです。こちらをご覧になりながらお目を通していただけると、より楽しく読めるかと思います。

 

witchdoktor0403のダイジェスト:witch_doktor's LiveCast #ヒトリアニ 2番手 3/29 11:40〜をwww.twitch.tvから視聴する

2020/04/05 追記

一部の音がTwitchでミュートされましたので、Mixcloud上げたもの(音声のみ)を参考までに置いておきます。

#ヒトリアニ とは

2020年のコロナウィルス感染症(COVID-19)拡大を受けて延期された、野外フェス「Re:animation 14」。

この延期を受けて出演者のひとりである、ミュージシャンのヒゲドライバー氏 ※1が「当日ひとりでDJ配信を届ける」とTwitterで発表したことからはじまった、配信をリレーする方式のアニソンDJフェスです。新型ウイルス感染が大規模な広がりを見せ、日本全体に憂鬱な雰囲気が漂う日曜日、2020年3月29日におこなわれました ※2。詳しい経緯はこちらの記事をご覧ください。

kai-you.net

※1 私にとっては大好きなデレマス楽曲の作家のひとりであり、チップチューンのレジェンドであり、雲の上の人です。

※2 あとの記録のために書き残しておくと志村けん氏の命日でもあります。翌日に彼の死が発表されましたが、楽しかった29日との落差がすごく、とても脱力した気持ちになりました。

以下、タイムテーブル・DJ陣です。

ヒトリアニ タイムテーブル

#ヒトリアニ タイムテーブル

参加の経緯

こちらのヒゲドライバー氏(以下ヒゲ氏)の呼びかけのツイートは私も見ていて、自分にもDJ配信経験があり、ちょっとは気になってはいたのですが、私は基本ハウスのDJであってアニソンDJの経験はほとんどない(リスナーではあります)し、誰か素敵な方がガンガン手を上げてあっという間にタイムテーブルがいっぱいになるんだろうと思っていたのです。

ところがそれから3日後、ヒゲ氏のこんなツイートが。

えーおいおいおい、こんなステキな話またとないぞ、誰も手を上げないのなら無茶を承知でやってみようと思い、勢いだけで「アニソンDJ経験はほとんどないのですがそれでもよろしければ…」と前置きした上でヒゲ氏にDM。あ、一応DJ経験者であることは示すために、自分のMixcloudアカウントのURLは添えました。

するとあれよあれよと話が決まり、出演が決まったという流れです。なんでもやってみるものであります。

選曲するにあたって参考にした記事・動画があります

ということで、アニクラDJを配信とはいえ人前でやるのは初めて(Mixは録ったことがある)でして、しかも多くの方が視聴されることはまず間違いなしのイベントです。とにかく出演が決まってから本番までの10日間、私に必要なのは自分のカンだとか経験ではなく、先人による、アニクラDJをやるにあたっての選曲の基準・モノサシでした。それも実践的なやつ。ブートキャンプ。なんたって初めてなのに大舞台なのです。プライドもなにもあったものではありません。

そこではたと思いついたのが、こちらの記事でした。

note.com

夏にハウスのイベント「夏4B」で知った、声優レアグルーヴのDJ、ISHIIさんによる振り返り記事です。紹介した記事にあるマトリさんのTwitchと聴きくらべてもらうと分かるかと思いますが、私の選曲・流れはほとんど彼が記事中で紹介した3つの原則を踏襲しています。

①選曲は声優楽曲原曲中心
②いくつかのブロックに分けBPMを大きく展開させる
③『情報量が多いとヤバい』理論に乗っ取り、要素を多く入れる

①については、あまりリミックスの数をもっていないということもあるんですが、やはり原曲のよさをガンガン出していきたいという気持ちはありました。自分がデレマスPであり、そのコンポーザーとして大活躍されているカラスヤサボウ(烏屋茶房)さんのヒトリアニへの参戦も決定したということで、もしかしたら見てくれる彼にリスペクトを示したいという気持ちというか色気もあり、結果として原曲中心の構成になりました。

②は4つ打ち中心の私には苦手なところなのでかなり練習が必要なところでした(大体ハウスDJは1分超えのロングミックスが多く、BPMに大きな変化がないことが多い)。これはセットリストを決めてから気合でやりました。

ただし私の場合、幅はそれほど広くなく、BPM130から160あたりまでじわじわと上げていき、その後120にストンと落とす、あとは130程度までじわりと上げ、最後に140に着地、というくらいの流れです。アニソンに多いBPMである170〜190あたりにはしていません。結果そこが他の方に比べての特色っぽくなったかもしれません。

③については、実際に参考記事のISHIIさんのプレイを聞き、解説を読み、どう曲のバラエティを出しているのかをよく考えました。私とISHIIさん、同じく割り当てられた40分のどこでどういう音を割り当てているのか、そこを読みつつ、彼のセットリストをパクるのではなく、自分の手持ちの楽曲でやるならどうなるだろう…と思いながら組み立てていったという感じです。くわしくはつづく各曲の解説で述べます。

セットリストと各ブロックの曲解説

セットリストは以下の通りです。

f:id:witch-doktor:20200331180658p:plain

ちょっと恥ずかしいことではありますが、配信型イベントであり視聴者の顔も見えないのでほぼ完全にセットは決め打ちでいきました。あまりに反応がないなどの非常時に備えてそれなりにリザーブ曲は用意していましたが幸いなことにこれを変更する必要はありませんでした(最後の一曲を除いては)。

第一ブロック(1〜6曲目)

1曲目〜6曲目はISHIIさんの理論の言葉を借りると慣らしのパートです。まだ雰囲気が固い中、いろいろな音を次々に取り替えて聴いていただくイメージでやっています。アニクラファンの皆さんからすれば私の知名度はゼロですし、まずこちらが見せられる幅と好きな分野(デレマス)を知ってもらおうという意図です。

この場面、Twitchでの「色んなとこからいろんなとこへつながって楽しい」というコメントには我が意を得たりという感じがして、心中で軽くガッツポーズをしたのを覚えています。

1. きみにいっぱい☆ / 姫川友紀 (CV: 杜野まこ), 市原仁奈 (CV: 久野美咲), 片桐早苗 (CV: 和氣あず未), 大槻唯 (CV: 山下七海) & 相葉夕美 (CV: 木村珠莉)
2. GABURINCHO OF MUSIC! / キョウリュウジャー, 高取ヒデアキ & 鎌田章吾

1、2曲目はデレマスとスーパー戦隊シリーズからサンバ調の楽曲をセレクト、しょっぱなからまったりと祝祭感を出していきます。配信会場が前のDJ、クランプクロウさんと変わるということもあり、遅れて入ってもらってもいいように、最初の2曲は同じ調子のものを続けました。サンバには昔から弱く、どちらも大好きな曲です。たまらん。

3. Carve a Life / 悠木 碧

3曲目はすみません、参考にしてるうちに私本人がとても気に入ってしまって、ISHIIさんのセットからそのままいただいています。声優・悠木碧さんの楽曲です。ISHIIさんの「ジェネリックシュガビタ」という表現、ちょっと笑ってしまった。

4. ヘイ!!にゃん♥ / さよならポニーテール

さらに4曲目もすみません、これはセット中唯一、アニメ・ゲームの文脈の音ではありません。ただこのさよならポニーテールというグループはきわめてその実在性が希薄になるようにプロモートされており、なんとなくセレクトしてしまってからアニソンでないことに気づいたのでした。

5. O-Ku-Ri-Mo-No Sunday! (M@STER VERSION) / 久川凪 (CV: 立花日菜) & 久川颯 (CV: 長江里加)
6. 恋色エナジー中野有香 (CV: 下地紫野)

5曲目、6曲目でようやくデレマスPとしての名刺を出してくるイメージ。久川凪さん担当Pとして、また今回共演のカラスヤサボウさんへのリスペクトを表しての『O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!』からの『恋色エナジー』。凪さんの「おもしろ君さん」前説ゼリフや間奏ラップを全部からめた、アニソンDJとしては比較的長めのミックスを入れることで4つ打ちDJとしての名刺もついでに差し出しております。

第二ブロック(7〜9曲目)

ISHIIさん解説の表現を借りると「ピーク1回目→ピークアウト」のブロック。

7. SWEET BREEZE 1234 / Escalator Team

ひとつめのピークは8曲目、ヒゲ氏による今回のヒトリアニを象徴する楽曲『たべられません』に決めていたので、その前にグッと毛色の違う、ピークにもっていけるやつがほしい…ということで7曲目に選んだのがビーマニ5鍵・CLUB MIX(ビーマニで一番好きなやつ)からのド変態ビッグビート「SWEET BREEZE 1234」。「たべられません」につながる生音っぽさもありつつ、オシャレさと狂気のバランスがほどよく、我ながらよく選んだと思っています。

8. たべられません / ヒゲドライバー

映像に息子氏が偶然(ホント偶然です)映り込みはじめ、コメント欄も温まってきた中での『たべられません』で無事いちどめのピークに。今回のCOVID-19禍による音楽業界へのダメージに対するカウンターソングであり、ぜひYouTubeなどで歌詞とともに味わってほしい一曲です。なお音源はヒゲ氏に今回の使用を事前に打診してお譲りいただきました。ヒゲさん、本当にありがとうございました。大切にします。

9. Tsuku Yomi Mode / Dimitri From Paris

ピークアウトはISHII氏の『Neco Mimi Mode』に倣って、そのB面曲ともいえる『Tsuku Yomi Mode』で一気にテンポダウン。Dimitri From ParisにはハウスDJとして何度もお世話になってきたけど、ここでもお世話になるなんて…と感慨深いものがある。

第三ブロック(10〜12曲目)

10. 白金ディスコ阿良々木月火(井口裕香)
12. pink monsoon / シェリル・ノーム starring May'n

ゆらゆらゆったりするけど甘めの曲と声の良さでぶん殴るゾーン。
BPM110台の曲でしっかりフロアのムードを作っておくとその後テンポを上げたときにハネやすい気がする。

というISHIIさんの理論に首がもげるほど頷いた私はBPM110〜120台でいい感じのボーカル楽曲をネットの海から探し出し、偽物語から『白金ディスコ』とマクロスFから『pink monsoon』を発掘(すみません、最近知ったんです)。『白金ディスコ』はアイマスPにもおなじみ、MONACA神前暁さんの作品であり、井口裕香さんのボーカルの魅力が存分に込められた一曲で文句なし。「pink monsoon」はたまたまリミックスがSoundCloudから紹介されて原曲を聴いた流れで知りました。ある種アニソンらしくないグルーヴ感のある楽曲で、全然これまでと違うダンサブルさがあって混ぜるとおもしろい感じになりました。

とりあえず 阿良々木月火さんがかわいいので偽物語はこれから見ます。ネタバレ踏みかけたけど踏んでないよ!

11. Treat or Goblins / 林原めぐみ

間をつなぐ林原めぐみさんの『Treat or Goblins(from アベノ橋魔法☆商店街)』は、実は後ろで踊っていた妻の発案です。実は妻は私をはるかに超えるオタクで、'90年後半〜'00年前半のTVアニメはかなりの数見ています。彼女の引き出しははるかに私より多いので、私は「こういう音がほしい」と伝えると、こういうすごいものを出してきたりします。頭が上がりません。

第四ブロック(13曲目〜17曲目)

ここからはひたすら踊りゾーン。自由に私がいま「踊れる」と思ってるBPM130前後のアニソン・ゲーソンをガンガン投入しました。

13. よりみちサンセット(Yurizo Garage Edit Short Ver) / 放課後クライマックスガールズ
14. リトルリドル (M@STER VERSION) / 双葉杏 (CV: 五十嵐裕美), 城ヶ崎莉嘉 (CV: 山本希望), 二宮飛鳥 (CV: 青木志貴), 白坂小梅 (CV: 桜咲千依) & 早坂美玲 (CV: 朝井彩加)
15. Let Me Be With You (feat. Nino) / ROUND TABLE
16. Snow in “I love you” / 777☆SISTERS

京都のオールジャンルパーティ「Layered」をオーガナイズする百合蔵さんによる『よりみちサンセット』のリミックスから『リトルリドル』で底抜けに明るいバイブスをお届けしつつ、「ちょびっツ」の『Let Me Be With You』で懐かしさとホッコリ感をプラス(この曲もうちの奥さま選曲)。つづいてナナシスも守備範囲に入れている友人Pから教えてもらってから気に入っている、777☆SISTERSの『Snow in "I love you"』。ちょっと季節はずれかなと思っていたけど、当日東京は雪だったようで結果バッチリでした(笑)。

17. Special Monday (For Blue Weekenders Remix)

そしてISHIIさんに教えていただいたお気に入りの一曲、冨永みーなさんの『Special Monday※』のリミックス。まさに声優レアグルーヴ、と言える一曲を声優レアグルーヴクルーであるcoffee_and_tvさんがリミックスした珠玉の一作です。

※オリジナル曲の初出はCD「われら混線合唱団~華も実もある恵日寿高歌謡祭」

第五ブロック(18曲目〜19曲目)

18. ミラーボール・ラブ (Musicarus Remix) / 宮本フレデリカ (高野麻美), 棟方愛海 (藤本彩花), 及川雫 (のぐちゆり), 荒木比奈 (田辺留依), 姫川友紀 (杜野まこ)
19. 躍るFLAGSHIP / 小日向美穂 (津田美波), 佐藤心 (花守ゆみり), 北条加蓮 (渕上舞)

ラストは先日発売されたばかりのデレマスCD『THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 3chord for the Dance!』から2曲、昨年11月のナゴヤドーム公演で、すっかりアンセムの仲間入りを果たしたTAKU INOUEさんの『ミラーボール・ラブ』とミフメイさん作曲の『踊るFLAGSHIP』。『ミラーボール・ラブ』の方は私達ハウスDJには(そしてもちろんアニクラDJにも)おなじみ、トラックメイカーMusicarusさんによる間違いなしの鉄板ハウス・リミックスです。

もうこのあたりになるといつもやっている四つ打ちのノリでガンガンいけるので楽しむだけという感じ。曲そのものが強いのでコメント欄の反応も多く、配信ならではの楽しさを満喫していました。

ラスト一曲…

以上19曲で終わるはずだったんですけど…アニクライベントだし、私のお気に入りだしと軽い気持ちで着てしまったこちらのTシャツが私に雑念を起こさせたわけですね…

20. 新世界交響楽 / さよならポニーテール

いや、そりゃ見てる人は期待しますよね、キルラキル。それも『シリウス』か『ambiguous』。でも先述したとおり、BPM120〜160あたりでやっているとここいらの曲はちょっと入らないな…と考えてたら、あったじゃないか、さよならポニーテールのEDが! ということで予定より早く『FLAGSHIP』を切り上げて1番だけなら入るはず…と急遽挿入、伏線回収させていただきました。ただ結果1分あまりおしてしまった上になんか尻切れトンボな終わり方に…これは本当にあるまじきことです、私の後を担当されたNadesicoreさん、誠に申し訳ありませんでした…

はい、振り返りとしては以上です。あとは自慢とポエムとお願い事です。

結果

そんな反省に終わった初めての人前でのアニクラDJプレイでしたが、全体としては多くの方に割と楽しんでいただけたのではないかなと思っています。

そしてこちら。

終わった直後目に入ったありがたいお言葉に卒倒するかと思った。冒頭の話につながりますけれども、チャンスがあると思ったらなんでもやってみるものであります。カラスヤさん、身に余るお褒めの言葉、ありがとうございました。

最後に:Re:animation 14へのご支援をお願いします〜2020年4月いっぱいまでクラファンやっています

私はもともとこのRe:animation(以下リアニ)に縁があった人ではなく、単にデレマスとアニメが好きなだけの趣味DJでして、たまたまヒゲ氏のお声がけを見たからこういうところでDJができただけです。

調べてみればすぐ分かる通り、このイベントは長い歴史の中でたくさんの方が関わり、貢献して、今のような大きなものになってきたものです。ヒトリアニはあくまでリアニ主催のイベントではなく、ヒゲ氏個人の発案による勝手イベントではありますが、確実にリアニの文脈の中にあるものです。その中に横入りしてしまう形になってしまっていいのだろうかということが、当日を迎えるまで気がかりなことでした。

とにかく自分としては、仲間に入れてくださったヒゲドライバーさんに恥をかかせないように、リアニを愛する皆さまに恥ずかしくないプレイをやろうと思って臨んだ本番でしたので、とりあえず多くの方に楽しんでいただけたようなのには、本当にホッとしました。

それと同時に、いま無期限の延期を決定し再起を図っているリアニにできる限りの貢献をして、今回のような貴重な機会をいただいたお礼としたいと思っています。とりあえずは個人として現在おこなわれているクラファンにいくらかの寄付をさせていただきました。

camp-fire.jp

この記事を書いている現在50万円近くのお金が集まっていますが、イベント規模を考えれば、おそらくまったく足りないことと思います。ましてやリターン品の原価がここから引かれると思えば、Re:animation 14の再起のためにはもっとたくさんのご支援が必要です。

よろしければ、ぜひぜひこちらのクラウドファウンディングに少額からでもご協力をいただければ幸いです。

いつかCOVID-19の脅威が去り、リアニの再起が決まれば、私はお礼かたがた現地に伺いたいと思っていますし、もしもヒトリアニで一緒にやったDJさんたちが一同に会することができたらステキなことだなあと考えております。

以上、お願いごととポエムでした。