Nu Discoから80's、Winkのリミックスまで。7月に買った音楽レビュー
7月は仕事のあれこれやら夏行事やら、いろいろなことですっかり更新が滞ってしまった。気を取り直して最近買った曲の中から数曲をご紹介する。視聴もできるので気になる曲があればぜひどうぞ。
Super Sonic / Nulbarich
最初にSpotifyで聴いたときにはてっきり国外の音楽だと思っていたのだが、Nulbarich(ナルバリッチ)は2016年に結成された日本のバンドだった。歌詞に日本語が混じっているのだけれど、最初は空耳かと思った。
アルバム「Blank Envelope」に収録されているこの曲はいわゆる今風のシティポップに分類されるだろうか、日本発のファンキーなロック。ぱっと聞きにはJamiloquai、あと最近の曲だとSuchmosとか、そのあたりの音を想起させる感じ。
曲とは関係ないけど、ゴヤの「我が子を食らうサトゥルヌス」をモチーフにしたアルバムのアートワークがいい。
Matahari / L'impératrice
フランスのディスコバンド・L'impératrice(カタカタ表記するとランペラトリス、になるか。『皇后』の意)については英語・日本語の情報があまり多くないが、少なくともMatahariはデビューアルバムであるらしく、メジャーでの活動はおそらくこの2019年からなのではないかと思われる。
フランスで暗躍したスパイ・高級娼婦として名高いマタ・ハリを題材にした、エロティックな雰囲気ただようディスコチューン。クインシー・ジョーンズの『愛のコリーダ』みたいな曲が好きな方には、現代のディスコチューンとしてぜひぜひご一聴してほしい。
Dance In The Memories / 中原めいこ
アニメ『きまぐれオレンジ☆ロード』ED曲。1988年。もともとこの曲を聴いたのはアニメを通じて、でなく2017年、Future Funkを探して聴いていたころにConsciousThoughtsの『Madoka』という楽曲がこの曲を下敷きにして制作されたと知ったため。
今年に入って後述するWinkのリバイバル企画などがあり再びFuture Funk・City Pop熱が高まってきたので買った。ジャンルとしてはユーロビート。80年代の日本のポップス独特のデコラティブな編曲が往時を思わせる。
Special to Me (Night Tempo Showa Groove Mix) / Night Tempo, Wink
韓国のFuture Funkの旗手のひとり、Night Tempoによるリミックス。この曲が収録されているEP『Wink - Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ』はWinkが所属していたポリスターによる公式企画でもある。
『Special to Me』は1989年にアルバム『Twin Memories』に収録されていたもので、ボビー・コールドウェルによる楽曲のカバー曲だった。私は小学生の時にこの曲に触れてから実に30年この曲を愛し続けていて、いま新しいリミックスが投入されることはとても感慨深いことだと思っている。
Night Tempoはこちらのインタビュー記事で彼がはじめてアップロードしたリミックス・ワークは『Spetial to Me』であったという話をしており、こちらもとても嬉しく思った。
日本のユーロビートはリスニング用にはちょうどよいのだが、ダンスフロアでかけるにはちょっと音圧が不足しているところがあり、そこがこのリミックスで解消されるのはありがたい。
ただし、Future Funk全体に言えることでもあるのだが、音源そのものにオカズ的なエフェクトが結構かかっていて、そこはDJの才量に任せてもらいたいような気もする。
ちなみにWinkは過去に『Wink Remixes』というリミックス曲集をアルバムでリリースしているが、当時は80年代らしさを評価する土壌はまだまだ育っていなかったため、どちらかといえば換骨奪胎感を楽しむ、というか人によっては「こんなんWinkでやる必要あるのか」と思えるようなものだったので、ヒット当時に文脈で作られるリミックスはやはりありがたいなと思う。