SuikoLogはてな別館

大阪のウェブデザイナー・コワーキングスペース運営者のブログです

Nu Discoから80's、Winkのリミックスまで。7月に買った音楽レビュー

7月は仕事のあれこれやら夏行事やら、いろいろなことですっかり更新が滞ってしまった。気を取り直して最近買った曲の中から数曲をご紹介する。視聴もできるので気になる曲があればぜひどうぞ。

Super Sonic / Nulbarich

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最初にSpotifyで聴いたときにはてっきり国外の音楽だと思っていたのだが、Nulbarich(ナルバリッチ)は2016年に結成された日本のバンドだった。歌詞に日本語が混じっているのだけれど、最初は空耳かと思った。

アルバム「Blank Envelope」に収録されているこの曲はいわゆる今風のシティポップに分類されるだろうか、日本発のファンキーなロック。ぱっと聞きにはJamiloquai、あと最近の曲だとSuchmosとか、そのあたりの音を想起させる感じ。

曲とは関係ないけど、ゴヤの「我が子を食らうサトゥルヌス」をモチーフにしたアルバムのアートワークがいい。

Super Sonic

Super Sonic

  • Nulbarich
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

Matahari / L'impératrice

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フランスのディスコバンド・L'impératrice(カタカタ表記するとランペラトリス、になるか。『皇后』の意)については英語・日本語の情報があまり多くないが、少なくともMatahariはデビューアルバムであるらしく、メジャーでの活動はおそらくこの2019年からなのではないかと思われる。

フランスで暗躍したスパイ・高級娼婦として名高いマタ・ハリを題材にした、エロティックな雰囲気ただようディスコチューン。クインシー・ジョーンズの『愛のコリーダ』みたいな曲が好きな方には、現代のディスコチューンとしてぜひぜひご一聴してほしい。

Matahari

Matahari

  • provided courtesy of iTunes

 

Dance In The Memories / 中原めいこ

アニメ『きまぐれオレンジ☆ロード』ED曲。1988年。もともとこの曲を聴いたのはアニメを通じて、でなく2017年、Future Funkを探して聴いていたころにConsciousThoughtsの『Madoka』という楽曲がこの曲を下敷きにして制作されたと知ったため。

今年に入って後述するWinkリバイバル企画などがあり再びFuture Funk・City Pop熱が高まってきたので買った。ジャンルとしてはユーロビート。80年代の日本のポップス独特のデコラティブな編曲が往時を思わせる。 

Dance In The Memories

Dance In The Memories

  • provided courtesy of iTunes

 

 

Special to Me (Night Tempo Showa Groove Mix) / Night Tempo, Wink

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韓国のFuture Funkの旗手のひとり、Night Tempoによるリミックス。この曲が収録されているEP『Wink - Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ』はWinkが所属していたポリスターによる公式企画でもある。

『Special to Me』は1989年にアルバム『Twin Memories』に収録されていたもので、ボビー・コールドウェルによる楽曲のカバー曲だった。私は小学生の時にこの曲に触れてから実に30年この曲を愛し続けていて、いま新しいリミックスが投入されることはとても感慨深いことだと思っている。

Night Tempoはこちらのインタビュー記事で彼がはじめてアップロードしたリミックス・ワークは『Spetial to Me』であったという話をしており、こちらもとても嬉しく思った。

gendai.ismedia.jp

日本のユーロビートはリスニング用にはちょうどよいのだが、ダンスフロアでかけるにはちょっと音圧が不足しているところがあり、そこがこのリミックスで解消されるのはありがたい。

ただし、Future Funk全体に言えることでもあるのだが、音源そのものにオカズ的なエフェクトが結構かかっていて、そこはDJの才量に任せてもらいたいような気もする。

ちなみにWinkは過去に『Wink Remixes』というリミックス曲集をアルバムでリリースしているが、当時は80年代らしさを評価する土壌はまだまだ育っていなかったため、どちらかといえば換骨奪胎感を楽しむ、というか人によっては「こんなんWinkでやる必要あるのか」と思えるようなものだったので、ヒット当時に文脈で作られるリミックスはやはりありがたいなと思う。

Special To Me (Night Tempo Showa Groove Mix)

Special To Me (Night Tempo Showa Groove Mix)

  • Night Tempo,Wink
  • エレクトロニック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

スタイルガイドジェネレータ「Flactal」を導入した所感

スタイルガイドジェネレーターであるFlactalを試してみたので第一印象をメモ。

導入は4ステップ

少なくともMacであれば、インストールはnpmさえインストールしてあれば本当に簡単で、ターミナルからいくつかのコマンドを打つだけで完了する。

下記の記事を参考にやってみたら、ものの5分で導入完了。

qiita.com

要するに

  1. スタイルガイドのためのフォルダをつくる
  2. フォルダの中でnpm init(package.jsonの作成)
  3. さらにFlactalをインストール
  4. グローバル領域にもFlactalをインストールする

以上の流れである。

とりあえず始めるのは本当にカンタン

あと覚えないといけないのは

flactal.js というFlactalの基本設定を行うためのファイルの書き方と、Flactalディレクトリの中の基本的な構成くらいで、それさえ覚えればとりあえずスタイルガイドの作成に着手することができる。すぐにローカルでスタイルガイドをプレビューする環境も整えることができる。簡単。

アセットをどう扱うかが大きな問題

問題になるのは、スタイルガイドに、コンポーネントに関係するアセット(CSSやJSなど)を記述するかどうかだ。

コンポーネントディレクトリの中に アセットを入れれば、それがスタイルガイドの各コンポーネントペーに表示されるのだが、各コンポーネントに関係するCSSやJSをわざわざ抜き出して書くのもちょっと面倒である。

Sassを使えばコンポーネントごとにCSSを書き、これをひとつのCSSにまとめてコンパイルすることも可能だが、CSSは再利用性が高いものほど、コンポーネント独自のCSSとして表示するのが難しくなるような気がする。

おもえばBootstrapやFoundationのドキュメンテーションでも、コンポーネントCSSやJSについてはいちいち記述されていないわけで、HTMLと外観さえ確認できればよいのかな、という気もする。

とりあえずはアセットはローカル開発用のものを直接読み込んで、スタイルガイド用のアセットは無視する感じでいこうかなと思っている。

枚方でアイドルものたくさんかけてきたのでレビュー - SHINCRU Music Jelly Vol.01 セットリスト

今回は「音楽ファンに聴いてほしいアイドル・ポップス」というお題で選びました。

1. Rainy Night Lady / RA MU

「時代に対して登場が早すぎた」とも言われるラ・ムーの一曲。ブラック・コンテンポラリーを意識したサウンドを当時アイドルであった菊池桃子をボーカルにすえたバンドでやろうとしたものだったそうですが、セールスはふるわず。現在は一部の音楽好きの間でレアグルーヴとして愛好されているようです。

2. 海辺のサティ / Especia

大阪のローカルアイドルとして活躍していたEspeciaの2013年リリースの一曲。現在でいうところのシティ・ポップっぽいサウンド・アプローチが面白いアイドルでした。私が知ったときにはすでに解散しており、近くのアイドルだっただけに残念な想いをしました。

3. スーパーヴィーニエンス / フィロソフィーのダンス

現代的でファンキーなビートと哲学的な歌詞で歌って踊る、がコンセプトのアイドルユニット「フィロソフィーのダンス」から一曲。90年代初頭に流行したニュー・ジャック・スウィングという音楽のスタイルを再解釈したものになってます。いま私的にはイチオシのアイドルグループです。

4. SUPERMCZTOKYO / ライムベリー

曲名の読みは「すーぱー・えむしーず・とーきょー」。この一年いろんなところでかけてますが、ヒップホップがテーマのアイドルユニットだったそうです(現在は解散)。バックトラックの元ネタは往年のディスコヒッツであるFunky Bureauの『Clap Your Hands Together』。

5. ススメ☆オトメ ~jewel parade~ / CINDERELLA PROJECT

ソシャゲであるアイドルマスターシンデレラガールズより。私このゲームの楽曲が大好きなんですけど、ここらへんはちょっと前の記事にしたためてますのでよかったら読んでやってください。

http://witch-doktor.hatenablog.com/entry/2019/05/27/170743

6. M@STERPIECE / 765PRO ALLSTARS

2014年公開の劇場版アイドルマスター主題歌。実によくできた王道のポップスです。星野源さんがご自身のラジオ番組で熱っぽくオススメしてオンエアしたこともあるそうな。

7. For The Light - Club Edit / Cargo

すみません、これだけアイドルじゃないです。その後のハウスへの流れをつけるためにその場で追加しました。Cargoは日本のハウスユニットで、とても聴きやすいボーカルものの楽曲をいくつかリリースしています。

8. 2nd SIDE(ag Remix) / 神谷奈緒

アイドルマスターシンデレラガールズからの一曲。このag Remixは知っているDJさんによる非公式なハウス・リミックスです。もちろん非売品ですが、SoundCloudに公開されています(ただしダウンロードは提供されてません)。
https://soundcloud.com/agr1920/2ndside

9. シオカラ節 / シオカラーズ

SHINCRUに来たらSplatoon関連はかけねばと思ってラストに持ってきました。作中のアイドル・デュオであるシオカラーズの代表的な一曲です。なお私はホタルちゃん派です。

EC-CUBE DAY 2019に出演します

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2019年7月23日、東京の浅草橋ヒューリックホール&ヒューリックカンファレンスで行われる「EC-CUBE DAY 2019」というイベントに出演させていただける運びになった。

オープンソースのECプラットフォーム「EC-CUBE」の最新版、EC-CUBE 4(2018年10月リリース)の管理画面デザインを担当させていただいた。この経験は私にとってとても貴重なものだった。こうした多くの人が利用するプロダクトをデザインするという経験自体が貴重だし、なによりEC-CUBEオープンソース・プロダクトである点が自分にとっての学びにつながったと思っている。

www.ec-cube.net

EC-CUBEは誰もが管理画面を拡張することができる。ソースコードを書き換えて直接カスタマイズすることも可能だが、現在はプラグインを開発することによって、コアのコードを書き換えることなくカスタマイズを施すことも可能だ。

そんなプロダクトのデザインに、使用方法を決めつけ固定するようなデザインはそぐわない。

様々な人が触れて、どのようにも拡張できる、その中でカスタマイズする人がデザインするのに困らないような工夫が必要だと思い、この仕事の中では画面の絵を作るだけでない、様々なことをやらせてもらった。

こうした経験から学んだことをこれまでに二度、人前でお話させてもらった。

最初は2018年11月に大阪で行われたFRONTEND CONFERENCE 2018での発表「理想のデザインプロセスについて考える 〜 EC-CUBE 4の管理画面デザインで学んだデザインプロセスの面白さ・難しさ」。

speakerdeck.com

そして次に2019年2月に東京で行われたDIST.25「管理画面から考えるUX」

speakerdeck.com

前者はデザインプロセス、後者はUX(ユーザー・エクスペリエンス)にフォーカスした内容になっていた。

今回はこれらの過去の発表内容を軸に、ウェブ制作者やデザイナー一般にフォーカスした話でなく、おもにEC-CUBEを扱うユーザーや、EC-CUBEのエコシステムにコミットするような方々に向けた内容をお届けする予定だ。

プロダクトのデザインとは、プロダクトと、ユーザーをはじめとする様々な人との関係をデザインすることだと思う。画面のデザインやデザインガイドの制作を通して、こうした課題にどのようにアプローチしたのか。うまくいったことはなにか。そしてやりきれなかったことはなにか。

平日の昼間ではあるが、ECに関わる皆さんにとって役立つ話にできればと思っている。ぜひぜひよろしければチェックしてください。

www.ec-cube.net

便乗注文のススメ

僕が住んでいる十三にはたくさんの小さくて素敵な飲食店がある。

僕はできたばかりの素敵なお店に行くのが好きで、その結果、なかなか入るのが難しいような繁盛店ができあがっていく過程を眺めることも多い。好きなお店に入りにくくなるのは少し寂しいことではあるが、それよりもやっぱり長く続けていただいて変わらない味を提供してくれる方が嬉しい。

大体は空いているときを狙って入るようにしているのだが、後からたくさんのお客さんがいらっしゃることも多いわけで、そういうときはさっさと退散することが多かった。

でも最近「便乗注文」することで混んでる中でも結構楽しく過ごせるなと気づいた。

便乗注文とは読んで字のごとく、他のお客さんに便乗して注文をすることだ。

大体ひとりなので、小さなお店だと近くのお客さんが注文する声はよく聞こえる。これに乗っかって「私にもそれください」とお店の人に告げる(多くの場合、元々注文した人には聞こえない程度にやる)。

「美丈夫一合ちょうだい」「あ、私にも一合!」
「鴨そばください」「あ、私にもそれひとつください!」

というやつだ。これをやるとなにがいいか。

1. お店の人のメモリをセーブできる、出るのも早い(場合がある)

当たり前のことだが、混み合った状態で調理をする人は脳のワーキングメモリをたくさん使っている。「AとBとCの注文があって、Bは甲さんの席、Cは乙さんの席、Aは丙さんの席…順番はB、C、A…」という状態が常に続いている状態にある。

そんな中での便乗注文はお店の人に余計なメモリを使わせないで済む。なにせ一つのメニューをつくるのに二倍作ればよいだけになる。フードはもちろんだがドリンクもかなりラクになることがわかるだろう。

店主のメモリは店にいるもの全員の共有リソースである。これがセーブできるとみんなが幸せだ。結果として頼んだものが出てくるのがかなり早くなる可能性も高いし、いいこと尽くめである。

2. 自分では頼まないものに巡り会えることがある

小さなお店なので、メニューは一定でない場合が多い。思わぬ季節の一品があったりする。ところが慌ただしい空気の中で急いで注文を済ませようとすると、ついいつも自分が頼んでいるようなものばかりを頼んでしまいがちになる。

ところが便乗注文すると「自分の目には入らなかったけれど美味しいもの」に巡り会えることがある。とくにメニューに存在していないけど常連さんが知っている裏メニューみたいなものに巡り会えることも。

この間は焼き鳥屋さんで裏メニュー的な〆の鴨つけ蕎麦に巡り会えた。麺物は、麺を一気に茹でて出汁も一度に出せるとかなりお店はラクだ。とはいえ私たちがこれを頼んだことでお店中のお客さんたちが一気に鴨つけ蕎麦を頼みだすということになってしまったのだけれど。

3. 会話のきっかけになる

ひとり飲みの楽しいところは、お店の人や周りのお客さんと楽しい時間が共有できるところだ。便乗注文はそうした周囲のお客さんとの会話のきっかけになりやすい。

「同じものに興味を持っている」ことは人の警戒を和らげるし、「同じ味を同時に味わっている」ことは当然話のきっかけになる。

とはいえ、もちろん無理に会話に割って入るようなことはかえって迷惑になるので、そこは無理のないようにしている。

以上。なお、便乗注文は何度もやるとなんだか怪しい感じになってしまうので、一来店につき一回程度にしておくのがいい。以上、便乗注文のススメでした。

ハイレゾ音源をはじめて試してみた

ハイレゾ音源に初挑戦

Pixel 3 XLを譲っていただいてはや1ヶ月あまり。慣れないAndroidもようやく手に馴染んできたところ。

前回の記事で音楽レビューをやったところ、音楽好きの友人がデレマス曲の多くがハイレゾで売っている教えてくれた。ひょっとして、と思い調べてみると、Pixel 3シリーズはハイレゾ音源の再生に対応しており、付属のUSB-Cイヤホンもちゃんとハイレゾ再生に対応していることが確認できた。

じゃあひとつ何度も聴いてる『Star!!』のハイレゾ音源を買って試してみようと思い立ち、早速OTOTOYで音源を購入してみた。540円。やはり通常の音源に比べて倍以上高い。

ototoy.jp

さっそく立ちはだかる壁

Pixel 3でポチポチっと買い、ダウンロード…してみたが、さっそく壁にぶちあたる。これどうやって再生するんだ。

まだAndroid一年生の私にはどうも要領がわからない。

iTunes Storeで買ったものなら、Mac上で即iTunesに取り込み→iTunes Matchでモバイルにライブラリが同期→すぐ聴ける

という超イージーモードですぐに買った曲が聴けるわけだが、iTunesに取り込んでAndroidApple Musicに取り込んだところでハイレゾ音質で聴けるわけではない。そもそもiTunesFLACハイレゾ音源のいち形式)の再生に対応していない。

そう、ハイレゾ音源にはハイレゾ再生用の音楽再生アプリがいる。

ささっと検索して無料のものを探してみると、まずはONKYO HF Playerに行き当たった。

play.google.com

オーディオメーカーが出してるのはなんだか信用できる感じがするので、すぐにダウンロードしインストール、起動してみる、が。

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アプリを立ち上げるといきなりファイルブラウザで面食らう

どこにダウンロードした音源ファイルがあるのか分からない。iOSのファイルブラウザもロクに使っていなかった私はモバイルでファイルを掘ることにまったく慣れていない。なぜかダウンロードフォルダにも入ってないし、そもそもAndroidディレクトリ構成がさっぱり分からない。

AndroidのファイルブラウザからDownloadフォルダをのぞいてみると、ダウンロードした音声データはzipに圧縮されていた。それでHF Playerのブラウザからは見えなかったわけだ。

で、どうやってこれ解凍するの…?

また調べること数分、ようやく解凍したFLACファイルをDownloadフォルダ上に展開することに成功。HF Playerからも存在が確認できた。

Downloadフォルダに音源データ置きっぱなしなのはよろしくない感じがするが、Androidで音楽のデータってどこに保存すべきなのかよくわからない。えいやと直接Downloadフォルダからファイルを読み込み再生してみる。

いよいよ再生・比較

で、ようやく音がなった。

音質がクリアな…気がする…。聴き比べるために、もともと聴いてたm4aの『Star!!』をかけてみた。が、再生されない。というか、再生ヘッドがすぐ曲の終わりに行って次の曲に移る。で、次の曲も再生されずに次の曲に…。その間に「ガッ」「ピッ」と異音が聴こえる。なんとHF Player、iPhoneからインポートしたm4aファイルは再生してくれなかった(あくまで僕の場合)。

仕方なくApple Musicでm4a版をかけ、HF PlayerでFLAC版をかける。

確かにハイレゾのほうがヴォーカルがクリアだし、音数が多い箇所でもそれぞれの音がよく聴こえる…ように思う。m4a版はヴォーカルがややビリついていたり楽器の音が嫌な感じでひとかたまりになっているような印象。ただプレイヤーアプリそのものを切り替えてしまっているので、アプリの性能の差なのか音源の差なのか、イマイチはっきりせずちょっと気持ち悪い。

なんだかんだで壁が高いハイレゾ音源

あとあとから調べると、Pixel 3の付属イヤホンはハイレゾ対応しているとはいえ、音源そのもののもつ96kHzは対応しておらず、48kHzになるようで。なんだかちょっともったいない気もする。とはいえ16bitと24bitではかなり違うという話なのだが、そこらへんもよくわからない。

ということで、ハイレゾ音源への最初の挑戦は「いい気がする」というくらいの中途半端な体験になってしまった。

またハイレゾ音源はAppleのミュージックライブラリに加えることがぱっと見できなさそうなので、この二重管理状態をどうするかというのも結構深刻。

あと大きなデータ量はたしかに課題。m4a版が相当圧縮されてるとはいえ、おおよそハイレゾ版とは10倍の差がある。音源自体の価格のこともあるわけで、とくにお気に入りの曲に限って購入し、楽しむ感じになるだろうか。

またHF Playerの設定をみても分からない専門用語だらけでうかつにさわれない。ここらへんはデジタル音声ファイルへの知識がある程度必要になりそう。

なんだかいろいろな意味で壁の高さを感じてしまったが、ひとまず初めてのハイレゾ体験であった。

プロデューサーさん以外の人にも薦めたい、デレステ配信楽曲10選(追記して11選になった)

アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ(通称デレステ)」は2015年に配信開始されたモバイル用音楽ゲームである。詳しい説明はWikipediaに譲るとして、僕は2016年4月から、中断している期間はあれどおおよそ3年、このコンテンツに触れてきた。

デレステでは2019年5月21日現在、全199曲もの膨大な量の楽曲がプレイ音楽として配信されている(ソースは下記ウェブページ)。そのすべては無料でプレイすることができ、またそのほとんどは現在iTunes StoreGoogle Play Musicにて購入が可能となっている(2018年9月ごろまではほぼ配信されていなかったことを考えると大変恵まれた環境になった)。

【デレステ】楽曲一覧 - Gamerch

今回はデレステのいちプロデューサー(作中ではプレイヤーのことを登場するアイドルたちのプロデューサーに見立てて「プロデューサー」または「P」と呼ぶ)として、その楽曲の魅力をプレゼンしたく、10曲を選んで解説していこうと思う。

セレクトにあたって気をつけたのは、できるだけゲームや登場するキャラクターのこと、ストーリーのことを知らない方でも聴きやすい曲、そしてアニソンや声優による歌唱に馴染みがない人でも聴きやすいものを選んだことである。なので、必ずしも「僕が好きな曲ベスト10」という性質のものではないことはご承知いただきたい(とはいえ大半は大好きな曲なんだけれども)。

基本的に僕は文章を書くときに公知の人であっても敬称をつけることが多いのだが、このレビュー文中では、歌唱する声優さんやコンポーザーさん、その他の人名に関して敬称を略している。

では全10曲、お付き合いいただきたい。公式が配信している試聴用のYouTube(公式のものが見つからなかった曲もいくつかあるが)に各曲リンクしているので、聴きながら読んでいただけると幸いである。

1. 無重力シャトル

相葉夕美 (CV: 木村珠莉)、安部菜々 (CV: 三宅麻理恵)、城ヶ崎莉嘉 (CV: 山本希望)、多田李衣菜 (CV: 青木瑠璃子)、新田美波 (CV: 洲崎 綾)

無重力シャトルジャケット画像

最近話題の楽曲から。ゆずの北川悠仁による書き下ろし楽曲。

2018年の下半期からデレステではゆずのカバー楽曲が多数配信されており、本人のテレビCMへの出演など蜜月ぶりが伺えたが、ついに彼らの書き下ろし楽曲が平成から令和をつなぐ大型連休を狙って投下されることになったという流れである。

僕は昔からゆずに苦手意識があった。『夏色』で彼らが世に躍り出たのは1998年、僕が大学生になったころだった。当時音楽の好みをこじらせた青年だった僕には彼らが放つどストレートな熱と光はなんとなく居心地が悪く感じられるものだったのだ。

なのに。今こうしてアイドルたちが歌い、玉屋2060%がシンセアレンジしたものを聴くとあら不思議、とても気持ちいいポップスだ。それでありながら、サビのメロディといい《何千億光年も はたまた太陽系から はぐれちゃっても》と早口でつむぐCメロといい、まぎれもなく「ゆずらしい(僕でも知っている程度のゆずらしさ、ではあるが)」ポップスでもある。

いかに僕がつまらないバイアスをかけて音楽を受け止めているかがよく分かった貴重な経験だった。すみませんでした。

おんなの道は星の道

村上巴(CV: 花井美春)

おんなの道は星の道 ジャケット画像

こちらもネット記事で話題になった楽曲。なんと作曲は「天城越え」も手がけた演歌界の大御所、弦哲也。作詞・編曲も演歌界の重鎮と言うべき人選となっており、ここはさすがは日本コロムビア(レコード会社としてアイドルマスターシリーズの音楽面を担当している)といったところ。デレマス曲には他に演歌風の曲はいくつかあるが、この曲はもう入り一発目の音からしてマジモン感がすごく、ひっくり返ってしまった。演歌のギターで挟まれる三連符ってああ、演歌だなあという感じでなんだかホッとしてしまうよね。

対して歌うは村上巴役、声優の花井美春。民謡の経験をお持ちとのことでこちらも見事な歌いっぷりである。

この曲の誕生秘話など詳しいところはぜひ、ねとらぼさんの記事をご覧いただきたい。

nlab.itmedia.co.jp

ガールズ・イン・ザ・フロンティア

渋谷凛(CV:福原綾香)、早坂美玲(CV:朝井彩加)、木村夏樹(CV:安野希世乃)、小日向美穂(CV:津田美波)、塩見周子(CV:ルゥ ティン)

ガールズ・イン・ザ・フロンティア ジャケット画像

デレステ3周年記念曲。シンデレラガールズ楽曲の多くの歌詞に通底して流れるモチーフはまさに「シンデレラ」なのだが、実に様々なシンデレラ像を曲ごとに、手を変え品を変え示してくれるのも楽しみ方のひとつである。

過去に歌われたシンデレラモチーフ楽曲はシンデレラを見初める「王子様」としてのプロデューサー = プレイヤーの存在を前提にしたものが多かった。2015年に放送されたテレビアニメシリーズ『アイドルマスター シンデレラガールズ』主題歌となった『Star!!』のこの歌詞が典型的である。

《慣れないこのピンヒール 10cmの背伸びを 誰か魔法で変えてください ガラスの靴に》

対してこの曲のシンデレラは

《誰かみたくなろうとして 誰かのあと追いかけてみても 王子様は 待ってないし ガラスの靴は イミテーション》《夢は他人に託すな》

と強く言い放つ。こうした自立した女性の強さを感じさせる歌詞はAKB48の『River』・欅坂46の『サイレントマジョリティー』を引き合いに出すまでもなく、2010年代女性アイドルのひとつの典型だが、これをシンデレラガールズでやるのかと楽曲発表時には驚いたものだ。

力強いサビの中のもっとも耳に残る5音に「シンデレラ」の5文字を当て込んだところにこれまでのシンデレラモチーフ楽曲へのアンチテーゼと、新しいシンデレラガール像を描き出す矜持が感じられる、外側も内側も凛々しい一曲である。

蛇足ではあるが、典型的な「王子様を待つタイプのシンデレラ」である小日向美穂(CV. 津田美波)をこの曲にキャスティングしたのはとてもアツいことだと僕は切に思う。

Angel Breeze

川島瑞樹(CV: 東山奈央

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昭和54年に生まれた僕にとって、アイドルの原風景を感じるのはこういった南の島に吹く涼しい風を思わせるような曲である。80年代末〜90年代頭はTV番組とのタイアップが盛んになりだした時期であり、日頃観ているアニメだろうとスポーツ番組だろうと、あまり脈絡なくアイドルの曲が流れ出して何度か面食らったものだ。けれどそれが僕と当時のポップスとの出会いのきっかけであった。

そう考えれば、アニメ『不思議の海のナディア』のイメージソングになっていた早見優の『マーメイドメモリー』あたりがこの曲のイメージに近い。

ふしぎの海のナディア マーメイドメモリー - ニコニコ動画

実はこのレビューを書くまであまり歌詞には注目してなかったけれど、出だしから

《ねぇ あなたがくれた 白い帽子 南風が飛ばした もういらない やっと気づいた 髪なびかせ 小さくなるの見てた》

なんと別離の歌だった。知らなかった。

イリュージョニスタ!

本田未央(CV:原紗友里)、佐久間まゆ(CV:牧野由依)、鷺沢文香(CV:M・A・O)、輿水幸子(CV:竹達彩奈)、新田美波(CV:洲崎綾)

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デレステ2周年記念曲。豪華絢爛な雰囲気あふれるスイング・ジャズ風ポップス。

歌い出しの原紗友里の陽性のボーカルがアレンジにぴったり寄り添い、脇を固めるのが実力派の洲崎綾牧野由依、アクセントに竹達彩奈M・A・Oという布陣も素晴らしい。

《変わらなければ やがて朽ちてく 忘れ去られたメリーゴーランドね 泡沫の煌き make you happy! ほーら 手を変え 品を変え Get up! 明日のSUPER ST@R!》

華やかなアレンジと曲に潜んだ歌詞がいやにリアルなのである。ちょうどソシャゲはパッケージのゲームと異なりサービスが終わると何も残らない残酷さがあるという話題がネットを賑わしていた頃だったか。

 まああまりそういう難しいことは考えずに頭を空っぽにして聴くと多幸感が味わえる。

《ワンナイト・イリュージョン 爛漫毎日 良い夢見れば いい朝も来る》

そういうことです。 

Palette

島村卯月(CV:大橋彩香)、小日向美穂(CV:津田美波)、五十嵐響子(CV:種﨑敦美)

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昨年末に配信開始された比較的新しい曲。僕はそのころデレステを追いかけていなかったので、この春になってから初めて聴いたのだが、いきなり軽く趣味のいいピアノから爽やかなホーンセクションに展開するイントロに打ちのめされてしまった。

全体的にはピアノとホーン、スキャットが絡む、かわいらしくお洒落なポップスという印象だが、アクセントとしてチップチューンっぽいピコピコ音やひずんだパーカッションが各所に効いていて耳を退屈させない。

こういう、いわゆる渋谷系を想起させるポップスってもう僕のようなおじさんをホイホイするために、なんだかんだたくさん作られていて、もう勘弁しておくれよと思いながらも結局今日もリピートで聴いている。おじさんだから仕方がないのだ。

歌っているのはP.C.S(ピンクチェックスクール)。彼女たちの持ち歌は『ラブレター』以来の二曲目だが相変わらずのアップリフティングかつ甘々なユニゾンでおじさんの心を刈り取りにくる。リピートでかけながらつい口角が上がってしまう。

そう、おじさんだから仕方がないのだ。

Hotel Moonside

速水奏(CV:飯田友子)

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デレマス曲の中ではかなり珍しいEDM風の四つ打ち系楽曲。もちろんライブではおなじみのぶち上げポジション曲となっている。

イントロ〜Aメロの変態感高いうねるシンセと速水奏役・飯田友子の涼しいボーカルの対比が脳をかき乱し、BメロからサビにかけてはEDMらしいマッシブな音の連打が歌詞の世界と同じように、聴く者をお空の果てまで強制的に連れて行く。

昔紛れ込んだ音ゲー中心のクラブイベント(会場は銭湯だったけどね)でもDJさんがしっかりこれをかけててフロアの注目をかっさらっていたのをよく覚えてる。僕もいつか四つ打ちのイベントでかけるんだと思いつつ、まだその機会は来ていない。

Star!!

CINDERELLA PROJECT

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2015年放送のアニメシリーズ主題歌であり、スマホ音ゲーであるデレステの主題歌的ポジションの曲。おそらくデレステといえばこれ、くらいの曲なので、やっぱりプロデューサー以外の人に薦めたい曲として挙げるべきかは迷った。迷ったがこれはやはり、知らない人には一度聴いてもらいたい。

展開がジェットコースターばりによく動く。あまりコード理論は知らないのでおかしな説明になっているかもしれないが、入りのサビの後ズドンと入る圧倒的物量のストリングスの後ろでコードがズンズン下に落ち、イントロのギターでガッと解決されるあたりのスリリングな感じとか、Bメロで再びサビに向けて浮上する感じとか。あと落ちサビ(最後のサビの直前に入るボリュームを落としたサビ)のオーケストラル・ヒットの爽快感もすごい。

聴いてて汗が出るような曲だけど、メロディーの美しさも相まって聴き終わればサウナ後のように気分爽快になれるのでぜひ4分ガッツリ聴いてみてほしい。

STORY

島村卯月(CV:大橋彩香)、本田未央(CV:原紗友里)、渋谷凛(CV:福原綾香)、神谷奈緒(CV:松井恵理子)、北条加蓮(CV:渕上舞

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フルで聴いてみるとゲームで配信されているショートバージョンとは少し趣が異なり、『Star!!』や『M@GIC』といったアニメでおなじみの楽曲のメロディを引用しながらのギターソロや、アニメのストーリーを振り返るような歌詞とともに、エピローグ的な雰囲気をたたえた楽曲として構成されていることが分かる。

CDジャケットに描かれるのはアニメでnew generations(主人公格3人のユニット)が出会った桜の木の下のベンチ。歌うのはやはりアニメで大きな役割を果たすニュージェネ3人と Triad Primus からの2人。

このように結構ハイコンテキストな曲であり、この10選に上げるのもどうかなとは思ったのだが、そんな予備知識がなくても少しほろ苦い風味の爽やかな青春ソングとして十分楽しめる。

イントロの切ないピアノリフ、Bメロの鐘の音、サビのコーラスワークももちろんだが特にアコースティックに響くギターが全体を印象的なものにしている。もちろんアニメを観てから聴けば200%楽しいはずだ。

6月3日追記

あらためてテレビアニメシリーズをみたら、この曲のインストバージョンが劇伴として何度も使用されていたことが確認できた。

ススメ☆オトメ ~jewel parade~

CINDERELLA PROJECT

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最後に紹介するのは、デレステ約200曲の中で僕がもっとも愛している曲である。初めてデレステをインストールして何曲か遊ぶ中でこの曲に行き当たり、気づけば肩でリズムを取りながら遊んでいたものだった。

改めてこの文章を書くためにリピートで聴いているが、もうすでにイントロのギターのワンストロークからしてエモい。哀愁感あるイントロから、ワウの効いたカッティングギターとアタック強めの4分刻みのベースを基調にしながら、丁寧に音の厚みを増しつつサビの大団円に向けて積み上げるようなきれいな展開。さらにサビからアウトロへ抜ける際の力強いストリングスアレンジも幸せ以外の何物でもない。完成されている。

そしてシンデレラガールズの世界観を真正面から捉えた、森由里子による力強い歌詞である。よく比喩の巧みさで引き合いに出されるのは2番のAメロ、《夢はダイヤ だから転んでも傷は残らない》のくだりなのだけど、僕が好きなのはゲームには登場しないCメロだ。

《また笑いながら また夢見ながら また歌いながら ねぇ明日へ》

永遠のアイドルなんて現実には存在しないし、それが二次元のコンテンツであろうと支えるのは人間である以上、やはり永遠ではありえない。わかっているけれど、けれどもこのくだりに僕は、いつまでも目を輝かせながら夢を描き、前を見据えて歩きつづける少女たちの群像を眼前に見るのである。

死ぬまでにライブでこの曲を全身で感じる体験はしておかないといけないなとこの文章を書きながら思った。

6月3日追記:Memories

LOVE LAIKA

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ひとつ忘れてた、というかAngel Breezeとどっちにしようと思いながら、なんとなくこちらを落としてしまっていた(ツッコミくださった @evian さんありがとう)。

アイドルの原風景という意味では共通しているのだが、よりこの曲が深く刺さるのは、私の大好きだったWinkの影響を感じるからなんだろうと思う。曲のつくりはWinkが歌っていた80年代ユーロビートとは異なる。どちらかというと、Tommy february6に代表されるような、2000年代にリバイバルさせた80年代風ポップスという色合いが強い(そういや一度自分のMixで、この曲とTommyの『je t'aime je t'aime』をつなげたことがあった)。

歌詞はシンデレラガールズの楽曲の中では極めて珍しいくらいストレートな別れの歌で、そこも際立っている。

自分のWink好きって小学生からなんだけど、やはり当時は人に言えず隠していたし、中学生になってCD借りて聴くようになってもひっそりと楽しんでいたものだから、なんとなくおおっぴらにしにくいという癖が未だにすこ〜しだけ残っているし、あとそういう自分の個人的な好み(歌っている人たちへの贔屓目とか)のために客観的にレビューしづらいなというのもあって無意識に避けてしまったのかなあと思っている。

さいごに

いかがだっただろうか。結局のところ僕の好みの曲を熱っぽく語るエントリでしかなかった気もするが、できるだけキャラクターやゲームの文脈を踏まずによさを説明したつもりではいる。

ところで田中秀和という人がいる。MONACAという音楽制作会社で数多くのアイドルマスター楽曲のコンポーズを手がけている人だ。実際にここに選んだ楽曲のうち、

  • Star!!
  • ススメ☆オトメ
  • STORY
  • イリュージョニスタ!

の4曲が彼の手による作品となっている。おおよそ私は彼が作曲・編曲した曲に全幅の信頼を置いていて、この4曲の他にも素晴らしい曲をいくつも作っているので、ぜひこのエントリから興味を持たれた方は、ぜひこの作曲者から追いかけてみていただきたい。

また、今回は選ばなかったけれど登場キャラクターやストーリーを知っていると味わい深い曲もたくさんあるので、ぜひゲームの方もプレイしていただければ。

最後に『アイドルマスターシンデレラガールズ』の楽曲制作スタッフさんへのインタビュー記事をご紹介しておく。これも読み応えがあるのでぜひ。

ddnavi.com